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秦きょうこ
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語り部。作家。
「むすびの文庫」と「ふゆる座」を主催しています。

いろいろのお問い合わせは、こちらまで。
上映会のご希望なども、お気軽にどうぞ。

musubino.huyuru@gmail.com
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曼荼羅はわたしのお守りです。
心の地図です。

混乱しやすいわたしの頭にとって、
曼荼羅は命綱のようなところがあって。
あたまがわんわんと、変にわなないて止まない時には、
曼荼羅をみることにしている。

わたしは学問をしないから、
曼荼羅の何たるかはほとんど知らないのだけれど、
曼荼羅が心の最深部の様相であることは、感覚的にわかる。

だから、みると、
わんわんとやかましい意識の混濁がぴたりとしずまり、
ただ音のない虹色の流れがそこに浮上してくるんだろう。

それは、なんというか、ただひたすらな、平安である。
ナウシカでいうところの、腐海の底。
そこに焦点をあわせている間は、上空の濁流からのがれていることができる。

そして、なにが本当で、なにが本当でないのかが、
くっきりとみえるような気がする。

曼荼羅はわたしの地図。
ほんとうは誰もが内奥に知っているはずの、調和のヴィジョン。
その地図を手に、与えられた「じぶん」を生きていけたらいいなぁ、と思う。



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「そのとき西のぎんぎらのちぢれた雲のあいだから、
夕日は赤くななめに苔の野原に注ぎ、
すすきはみんな白い火のようにゆれて光りました。

わたくしが疲れてそこに眠りますと、
ざあざあ吹いていた風が、
だんだん人のことばに聞こえ、
やがてそれは、
いま北上の山のほうや、野原に行われていた鹿踊りの、
ほんとうの精神を語りました。」


みなさまご存知、
宮沢賢治さんの「鹿踊りのはじまり」のはじまりの文章です。

賢治さんの作品、とても好きです。
中でもこの「鹿踊りのはじまり」は、いちばん好きかもしれない。


昨年お亡くなりになった、女優の長岡輝子さん。
彼女は、賢治さんと故郷をおなじくする方でした。

彼女による、賢治さん作品の朗読CDが、
文庫にはたくさんあります。

ふゆ休みの文庫で、
その朗読をきく会をもちたいと考えています。

みなさん、作品のリクエストがあれば、
ぜひお寄せくださいませ。
ひとよ、もみじ。

一夜、紅葉。

けさ、目をさましたら、
み渡すかぎりが、紅葉していた。

山も庭木も、街路樹も。
一夜のうちに、錦を織った。

寒暖の差が、紅葉をうつくしくする。
とは、聞いていたけれど。
これはあんまり、劇的だよ。

帆柱の細道をぬって走る通勤のバスも、
きょうは紅葉狩りツアーさながらでありました。

ああ、この現象世界の、
なんと胸にせまることよ。

○進農園の収穫祭。
わたしは行けなかったけれど、お餅のおみやげをいただいた。

竈に蒸籠で蒸した餅米を、杵と臼とでエイサエイサと搗きあげた餅。
これが、もう、味をこえて、うまい。うまい、うまい。

桃太郎のきびだんご。
ばりの、力がわいてくる。


○土よう、日よう、三重にすむ友人が文庫にやってくる。

友人は、すこしくたびれているみたい。
餅の出番だ。

・玄米あずき粥
・さつま芋、大和芋、じゃが芋のお好み焼き
・かぼちゃとブロッコリーの豆乳スープ
それぞれに、焼き餅をいれる。

いつもは小食の友人が、
「このお餅は、気がすごい。」とおどろいて、
おいしい、おいしいとたくさん食べてくれた。

となりで、搗いたひとが、ほこらしげにしていた。


○力餅屋。
話は飛んで、鎌倉の力餅屋。
力持ちの鎌倉権五郎ゆかりの餅。

鎌倉へいくときは、いつも立ち寄る。
数年前、わたしが病気してやせっぽちの青びょうたんだった時、
夏によたよたと歩いてのれんをくぐったのが最初。

暑さによわりきっていたわたしを、
飴色のふるい椅子にすわらせて、お餅をたべさせてくださった。

「いま、大きな力が与えられた。」
と、あの時びっくりしたのを覚えている。


○力持ち。力餅。

じきにお正月さまもやってくる。
丸餅は、お年玉の原型ってきくでしょ。

しろく丸い餅は、まあたらしい魂の象徴。
あたらしい一年をおくる、生命の象徴。

お正月に、お餅をたべて、
みんなひとつずつ年をとる。

お餅はふしぎなたべものだ。
○金よう、土よう、田川郡赤村をたずねて、
柚子をめいっぱいもぐ。

柚子の木の凶ぼうな棘にブスブスとやられたけれど、
お蔭でいま文庫は柚子長者だ。


○日よう、柚子しぼり。
柚子の山を片っぱしから、しぼってゆく。

果てなく思えたけれど、ぶじしぼり終える。

文庫が柚子のかほりに満たされた。

柚子蜜豆乳という、たいへんに旨い飲みものをおそわる。
冬やすみの文庫でお出しすることにしやう。


○火ようび、柚子ジャムづくり。

2ど茹でこぼして、ひたすら薄切りにしてゆく。
てんさい糖と和えて、火にかける。
弱火でじわじわ、くつくつと煮て、透きとおったら火をとめる。
瓶につめて、ほっと一息。

3キロできた。

柚子と小豆あんの蒸しぱんをつくるのだ。

柚子の皮はまだまだ沢山。
あすからもジャムづくりはつづく。

これまた沢山の種は、焼酎漬けに。
虫さされや傷の良薬ときく。


○柚子、たわわ。

お蔭で夜ごととってもいそがしいけれど、
柚子のかほりにひたされて、おくる冬。
ありがたき、しあわせ。

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