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秦きょうこ
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語り部。作家。
「むすびの文庫」と「ふゆる座」を主催しています。

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musubino.huyuru@gmail.com
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○かなしみは尽きないが、
このせかいには蛍のひかりがある。

蛍のひかりによりそわれて、
ようやくおちるなみだがある。
ようやくこぼれる愛がある。


○夜の川辺にうずくまるわたしに、
一匹の蛍がとまってくれた。

それだけで十分。
それだけで、十分。
生きてくのに十分な、こころづよさよ。

蛍に、恋を、してしまったかな。


○小さな鶴が、
20cmほどの丹頂鶴が、ゆめに出てきた。

ぱたぱたぱたと飛んできて、
目のまえに舞い降りてきた。
かわいいっと声にだしてよろこぶ間もなく、
いっしょに居た友人がふざけてえいっと小鶴さんをつかんじゃった。

ちょっとなにすんのよって、
怒りかけたんだけど、小鶴さんはなんのその。
友人の手をするりとぬけて、
ぱたぱたぱた。

羽をひろげてゆっくりたかく昇っていく。
たかく、たかく。
ふるえるような、繊細なはばたき。
きらきらと、高音。
それにしたがって、両のはねが、
まるで藤の花弁のようにだんだんと長く下がってくる。

その美しいことったら!

うわぁとながめるうちに、
小鶴さんは降りてきた夕闇のなかへ、
どんどんと小さくなりながら、とけていく。
もう影はみえない。
でも羽の一片一片が蛍のように光り、
それだけが闇にうかびあがって見える。

きれい、きれい!

ついに、それさえ見えなくなって、
あぁなんてものを、わたしは見ちゃったんだろうかって、
そう思ったとき、

「あ!」

と、わかった。

そうだ、あれは、亡くなった親友だったんだ。
そうだよ彼女のたましいだった。
それであんなに美しかった。
それであんなに繊月のようだった。

彼女に会えたことが、
目ざめてからもとてもうれしくて、
わたしはやっぱり彼女のことが大すきだとおもった。


○ゆめの中でわたしはオオカミになった。

それで森のほそい一本道を、
なんどもなんども雑巾がけしたんだ。

オオカミだと雑巾がけはとてもはかどる。
ってことがわかった。

毛はなかなかに剛くて、
走るとその一ぽん一ぽんが、
針のようになびいた。

われながら、かっこよかった。


○蛍よ、蛍。
汝らはそのみじかい命のうちに、
幾千の人をなぐさめ、
幾万のたましいを鎮めるのか。

蛍よ、蛍。
汝らはわらうかもしれぬが、
わたしはそなた達の亡骸を、
やはりなぐさめ鎮め、だいじにしたい。

来年もまた、ここで会おうぞ。
来年もまた、ここに会おうぞ。



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たましいの象徴-かたち
貴女が個人的に経験した-直感した魂の象徴としての鳥や蛍、、、これらは伝統的日本人の、また古代人、世界各地に認められる普遍的な、或る意味ユング的象徴かもしれませんね。
安西博之 2012/08/26(Sun)06:11:37 編集
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